科目雑学 国語

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宮下先生が担当する「国語」の授業、補習、特進コースで出題された問題をもとに、「国語」に関する雑学を書いていきます。記事は分野ごとに見出しを付けて、随時追加します。

各分野の記事を、新しい順に掲載していきます。時々チェックしてみてください☆

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漢字・ことば

四字熟語、慣用句、ことわざ、難読漢字などに関する雑学です。

2024/10/06掲載

発条

簡単な漢字の組み合わせですが、いざ聞かれると読めない言葉ですね。

これは「ぜんまい」および「ばね」と読みます。「ぜんまい」とは「ばね」の一種で、巻かれた渦巻きが、元に戻ろうとする力を動力源として使用するものです。続けて「ぜんまいばね」とも呼びますが、省略されて「ぜんまい」と呼ぶことが多いです。

なお、同じ読み方ですが、ゼンマイ科の多年生シダ植物「ぜんまい」は「薇」と書きます。ばねの「ぜんまい」も、その形状が植物の「ぜんまい」に似ているところから取られた名称なので、「ぜんまいばね」と繋げて漢字で書く場合、「薇発条」と表記します。

参考:Wikipedia「ぜんまいばね

田舎

これは簡単ですね。「いなか」と読みます。対義語は「都会」「都」などで、「都会から離れた土地」という意味です。

もとは「漢書」などに漢字表現として存在していた「田舎」に、和語の「いなか」という音を当てたものです。「万葉集」の次の和歌には「居中」という表記が使用されています。

漢字本文「昔者社難波居中跡所言奚米今者京引都備仁鷄里」
読み下し文「昔こそ難波田舎と言はれけめ今は都引き都びにけり」
歌人:藤原朝臣宇合

参考:奈良県立万葉文化館「万葉百科」、Wikipedia「田舎

山羊

これも一般に星座などで使われますね。「やぎ」と読みます。

山羊はウシ科ヤギ属の動物の総称で、中国語の「山羊」に和語の「やぎ」を当てたものです。アニメ「アルプスの少女ハイジ」に出てきた真っ白な子ヤギ「ユキちゃん」かわいいですね。

「羊」は「ひつじ」と読み、生物の分類ではウシ科ヤギ亜科にあたります。よく似た雰囲気のある動物ですが、生物的にも近縁なんですね。

参考:Wikipedia「ヤギ

勧善懲悪

読めと言われれば多くの人が読めるのに、書けと言われれば間違う人が続出する漢字です。

これは、「かんぜんちょうあく」ですね。かつて王道といわれた物語のパターンで、「善を勧め、悪を懲らしめる」、すなわち「善は悪に勝つ」という意味です。典型的な例としては、長年放送されたドラマ「水戸黄門」などがそれに当たるでしょうか。

古くは十七条憲法の第六条に「懲惡勸善、古之良典。」という表現があり、それ以前の時代から勧善懲悪が「良いしきたり」として認識されていたのがわかります。

様々な物語があふれる現代では、勧善懲悪はもはや使い古されたパターンのように認識されてしまう傾向があり、あえて悪の方にその意義を与える作品なども書かれるようになっていますね。ゲームでも、1992年に作られたドラクエ4など、すでにその傾向が見られます。

参考:Wikipedia「勧善懲悪

巧言令色

これは「言葉を飾り顔色を取り繕うこと」などを意味していて、言葉巧みに相手に取り入る様子を指します。「こうげんれいしょく」と読みます。古くは「太平記」にも「又巧言令色君の心を悦ばしめしかば」という表現が見られます。

新元号の「令和」が制定された際、「令」は「命令」などの意味のほかに「よいこと」という意味をもつことが、「万葉集」を典拠に説明されましたが、ここでの「令色」は「顔色を取り繕う」と、あまり良さそうな意味をもたないようにも思えますね。

参考:コトバンク「巧言令色

猫の額

これは、その場所の「面積が狭い」ことを意味するたとえです。謙遜する際などに「猫の額ほどの庭」という使い方をします。

こんな付箋メモが販売されていましたw

参考:コトバンク「猫の額

竹馬の友

これは「ちくばのとも」と読みます。

竹馬で遊んでいた頃、すなわち幼い頃からの友達という意味で使われます。太宰治の「走れメロス」では、セリヌンティウスのことを「竹馬の友」と表現しています。

もとは中国の故事成語で、ここでの「ちく」は日本でいう「竹馬たけうま」ではなく、「竹の棒にまたがって馬に見立てて遊ぶおもちゃ」のことだそうですが、意味としてはどちらでも通じますね。ただ、現代の子どもが「竹馬たけうま」で遊ぶかどうかは微妙ですが…

参考:コトバンク「竹馬の友
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現代文学

明治以降に書かれた文学作品と、その作者などにまつわる雑学です。

2024/10/06掲載

腕くらべ

「腕くらべ」は、「濹東綺譚」「断腸亭日乗」などで知られる明治中期~昭和初期に活躍した作家、永井荷風による長編小説で、雑誌「文明」に1916~17年にかけて連載されました。東京新橋の花柳界を舞台とした作品です。十里香館より刊行された初版には、当時の検閲でカットされた箇所があり、戦後1956年になってからフルバージョンが発行されました。

よく似たタイトルの作品に「たけくらべ」がありますが、こちらは1895~1896年にかけて雑誌「文学界」に連載されたもので、作者は樋口一葉です。24歳で夭逝した彼女は、日本初の職業女性作家として、そして2004~2024年にかけて発行された五千円紙幣でもよく知られています。

参考:Wikipedia「腕くらべ」「樋口一葉

桜桃忌

太宰治の誕生日である6月19日を指して「桜桃忌」と呼びます。

1948年6月13日、太宰治は愛人の山崎富栄とともに、玉川上水に入水自殺したとされていますが、その遺体が発見されたのは、奇しくも誕生日と同じ6月19日でした。太宰が晩年に著した作品「桜桃」と、彼の故郷である津軽を代表する果物である桜桃(さくらんぼ)にちなんで、作家の今官一が発案したと言われています。

なお、作家の忌日としては、芥川龍之介の「河童忌」、梶井基次郎の「檸檬忌」、三島由紀夫の「憂国忌」などが知られています。

参考:Wikipedia「太宰治」「太宰治と自殺
参考:青空文庫「桜桃」(太宰治)
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古典文学

江戸時代以前に書かれた文学作品と、その作者などにまつわる雑学です。

2024/10/06掲載

土佐日記

この作品は、平安前期~中期の歌人、紀貫之が作者とされています。

冒頭で「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」とあり、これは「男が書く日記というものを、女の私も書いてみようと思って書くのである」という意味で、「女の私」と装っているわけですが、紀貫之自身は男性です。

この解釈には諸説ありますが、令和の時代、男性が女性キャラ、女性が男性キャラで、ゲームを遊ぶようなことも多くなっています。これは決して悪いことではなく、ある意味では現実とは全く異なるキャラクターを自身に見立てることで、いわばもうひとつの人生を新たに構築して遊ぶ試みでもあり、紀貫之もその先駆けといえるかもしれません。……言えない?w

参考:青空文庫「土佐日記」(紀貫之)、Wikipedia「土佐日記

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